誰か故郷を想わざる
西条 八十 作詞 古賀 政男 作曲
1 花摘む野辺に 日は落ちて みんなで肩を 組みながら 唄をうたった帰り道
幼なじみのあの友 この友 ああ たれか故郷を 想わざる
2 ひとりの姉が 嫁ぐ夜に 小川の岸で さみしさに 泣いた涙の なつかしさ
幼なじみのあの友 この友 ああ たれか故郷を 想わざる
3 都に雨の 降る夜は 涙に胸も しめりがち とおく呼ぶのは たれの声
幼なじみのあの友 この友 ああ たれか故郷を 想わざる
「花摘む野辺に・・・・・・」で浮かんできたこの歌。
朝の散歩みち、緑に敷き詰められた小草の中、たんぽぽ、クローバーに混じってアカバナ、ブタクサ。
摘み草したい花々が散らばっている。
たんぽぽの黄色、クローバーの白、アカバナの濃いピンク、すっと伸びた針金のような緑の茎の上に咲くブタクサの黄色。
もう夏が来たのだと暦にいう立夏。
緑の中の色とりどりが心湧きたつ。
少し目を上げるとそこにも緑。
あるのは白く小さい真ん丸蕾の卯の花の房ふさ。
この歌はさみしい歌。
古賀政男が7歳から明治大学予科に入るまで過ごした朝鮮時代の様子を、西条八十に話したところ出来上がった歌とか。
戦争時代によく歌われたとも聞くが、「幼なじみのあの友 この友 ああ たれか故郷を 想わざる」
いつの世も人は「幼なじみのあの友 この友 ああ たれか故郷を 想わざる」。
そして故郷は「咲く花」と「歌」。